家の中でヤスデを一匹見かけたら、どう対処すればよいのでしょうか?
一見、無害に見えるヤスデですが、その一匹が家の中への侵入経路や他の隠れたヤスデの存在を示唆しているかもしれません。
ヤスデは家の中で繁殖するわけではありませんが、その侵入はしばしば屋外からの環境変化や家の構造的な隙間に起因します。
この記事では、ヤスデがどのようにして家の中に侵入するのか、そして見つけた際の効果的な対応策について詳しく解説します。
さらに、ヤスデの侵入を未然に防ぐ予防策も紹介しますので、是非最後までお読みください。
記事のポイント
- ヤスデの生態とその特徴
- ヤスデの卵の秘密や繁殖条件
- 家の中にヤスデが発生する原因
- ヤスデが嫌いな匂いや侵入を防ぐ対策
記事内に虫の写真はありません。虫嫌いの人も安心してお読みください。
ヤスデが家の中に一匹いたら?その正体と特徴
- ヤスデとは?その特徴を知ろう
- ヤスデの生態と発生時期
- ヤスデが繁殖しやすい環境
- ヤスデとムカデの違い
- ヤスデは卵をどこに産む?
- ヤスデは一度に何匹産むのか
ヤスデとは?その特徴を知ろう
ヤスデは、細長い体にたくさんの足を持つ節足動物です。
日本には300種類ほど生息しています。
湿った場所を好み、腐葉土や朽木の下などに隠れていることが多いです。
人に危害を加えることはほとんどありませんが、体液には刺激臭があるため不快害虫として扱われることもあります。
梅雨時などに家の外壁を登ってきたり、すき間から家の中に入ってきたりすることもあるので注意が必要です。
日本でよく目にするヤスデの種類
1:ヤケヤスデ
ヤケヤスデは日本で最も一般的なヤスデです。
体色は褐色や黒色で、足は白やクリーム色。
大きさは体長20ミリ程度と小型。湿った落ち葉の下などをすみかにしています。
2:キシャヤスデ
キシャヤスデは体長30~40ミリとやや大きめ。
若いうちは薄いオレンジ色をしていますが、成長するにつれて黒褐色に変化します。
土中で約7年もの長い年月を過ごした後、成虫になり地上に現れます。
3:フサヤスデ
フサヤスデは体長20~25ミリで毛むくじゃらの特徴的な見た目があります。
樹皮の下や草むら、石の下などをすみかにして生活しています。
肉食性で、昆虫の死骸などを食べます。
4:ヤンバルトサカヤスデ
ヤンバルトサカヤスデは台湾原産の外来種で、体長25~35ミリ。
体色は褐色の縞模様が特徴。
日当たりの悪い湿った場所を好み、夜に活動します。
大量発生することがあり、不快害虫として注目されています。
ヤスデの生態と発生時期
ヤスデは、主に4月から11月にかけて活動します。
1匹のメスが1回の産卵で150~300個の卵を産み、8日程度で孵化して乳白色の幼虫となります。
幼虫は亜生体を経て成虫になるまでに約1年かかり、土の中で越冬します。翌年の6月ごろから成虫になり始め、地上に現れます。
特に6月~7月がヤスデが最も活発になる時期です。
この時期になると、前年に卵として産み落とされたヤスデが成虫になり、地上に現れ始めるからです。
梅雨明けとともに、新たに成虫になったヤスデが一斉に地上で活動を始めるため、この時期がヤスデの活動ピークを迎えます。
ヤスデの大量発生でとくに気をつけたいのが、梅雨と秋雨の時期です。
ヤスデの産卵期間は8~10月ごろで、この時期に次世代の卵が産み落とされるからです。
幼虫は土の中で生活するため、人家に侵入してくるのは成虫です。
成虫は湿気のある環境を好むため、湿気の多い状況を避けることがヤスデ対策として有効です。
幼虫は土の中で主に腐植物質を食べて育ち、成虫になると落ち葉や枯れ葉などを食べます。
幼虫の発生を抑えるには、成虫を駆除し生息を困難にすることが重要です。
ヤスデが繁殖しやすい環境
ヤスデにとって繁殖しやすい環境とは、湿度が高く、腐葉土や朽ち木がある土壌です。
具体的には、家の周りで下草刈りをせずに落ち葉や枯れ枝を放置している場所がヤスデの好条件となります。
落ち葉と枯れ枝が混在した土壌は湿度が高く、ヤスデのえさとなる腐葉土も発生しやすい環境です。
このような場所であれば、ヤスデは快適な生息地を確保でき、大量に繁殖する可能性が高くなります。
同様に、植木鉢やプランターの土の中もヤスデにとってうってつけの住処です。
特に排水性の悪い土を使用したり、水やりを多めにしたりすると、土壌が常に湿った状態を保ちます。
このような植木鉢やプランターの土の中には、ヤスデが隠れ住んでいる可能性があることに注意が必要です。
このように、湿度の高い腐植物が豊富な環境ほど、ヤスデの繁殖を助長してしまいます。
発生を防ぐには、こうした環境を改善することが重要なポイントだといえます。
ヤスデとムカデの違い
ヤスデとムカデはともに細長い体と多数の脚を持つため、初心者が見分けるのが難しいケースがよくあります。
しかし両者は全くの別種で、生態や性質の違いが大きいのです。
ヤスデが20ミリ程度の小型なのに対し、ムカデは100ミリを超える大型に成長します。
ムカデは昆虫や他の小動物を捕食する肉食性で攻撃的な一面がありますが、ヤスデは植物質のみを食べる完全な草食性です。
また、ムカデには神経毒を含む強力な毒があり、かまれると激しい痛みに加えて発疹や炎症を起こします。
一方、ヤスデはほとんど毒を持たず、人体への危害はほぼありません。
さらに、ムカデが体をくねらせながら進むのに対し、ヤスデは脚を小刻みに動かしてまっすぐ歩くのが特徴です。
この違いは歩き方の観察でも明らかになります。
以上のように、似たような見た目であるものの、ヤスデとムカデを正しく見分けておくことで適切な対応ができるようになります。
大きさや毒の有無、生態や歩き方の違いに注目しましょう。
ヤスデは卵をどこに産む?
ヤスデが好んで産卵する場所は、朽木の下や落ち葉が豊富な土の中、特に腐葉土が豊富な環境です。
メスのヤスデはこうした場所を探し回り、見つけた腐植物の下などにまとめて卵を産み付けます。
ヤスデの卵は丸っこい楕円形で、新しく産み付けられた状態では乳白色をしています。
色が変化して茶色くなるにつれて、孵化が近づいていきます。
大きさは1ミリ前後と小さく、まとめて数百個も産み付けられることが多いです。
こうした卵の集合体は地表から数センチほどの深さに置かれることが多く、地面を掘り起こさなければ気付きにくいです。
しかし、このような場所から一度に大量のヤスデが孵化する可能性があることに注意が必要です。
ヤスデを発見したら、近くの土壌も確認するようにしましょう。
ヤスデは一度に何匹産むのか
1匹のメスのヤスデが産む卵の数は、平均して150~300個ほど。
最大で1,000個以上の卵を産む種類もいるとの情報もありました。
これだけ多くの卵を産むため、一気に大量発生して驚かされることもありそうです。
卵から孵化したヤスデの幼虫は、1年程度で成虫になり、地表に大挙して現れるとされています。
ヤスデは一般的には益虫とされており、腐植物質を食べて植物を分解し、土に返す役割を果たしています。
ただし、大量発生した場合や家の中に侵入した場合は、対策を考える必要があるかもしれません
ヤスデが家の中に一匹いたら?駆除方法と予防策
- ヤスデが家の中に入ってくる経路は?
- ヤスデの発生源がわからない時の対応策
- ヤスデを家の中に入れない方法
- ヤスデが嫌いな匂いとは?
ヤスデが家の中に入ってくる経路は?
ヤスデが家の中に入ってくる経路としては、玄関のすき間や押入の下の隙間、土管の中などがあげられます。
建物の外壁に登ってきたヤスデが、わずかな隙間からすり抜けて中に入ってきます。
エアコンの室外機付近に集まることも多いです。
家中を這い回るので発見しにくいですが、ベッドの下やクローゼットの中を確認すると見つかることがあります。
ヤスデが家の中に侵入する主な原因は以下の通りです。
ヤスデが家の中に侵入する原因
- 湿気が多い環境
ヤスデは湿気の多い環境を好むため、湿気が高い家に侵入する可能性があります。
特に脱衣所や浴室は要注意です。
- 長雨による土の中の水溜まり
長雨により土の中が水で溢れると、ヤスデは溺死を避けるために土から出てきます。
その結果、外壁を這い上がり家に入ることがあります。
- 家に隙間がある場合
玄関や窓、サッシなどの隙間からヤスデが侵入することがあります。
- ヤスデの住処の環境変化
庭のリフォームや駐車場の工事などでヤスデの生息場所が失われると、家に侵入する可能性があります。
ヤスデは大量発生して集団で移動するって本当?
ヤスデの大量発生と集団での移動に関する興味深い現象は、実際に起こりうる事態です。
ヤスデは一度に150~300個もの卵を産むため、条件が整えば、一箇所に大量発生する可能性があります。
特に、5月から7月にかけてはヤスデの大量発生が最も多く見られる時期です。
例えば、静岡市では10~12月を中心に亜成体や成体が混在した集団移動が発生し、4月以降にも成体の集団移動が報告されています。
参考:ヤスデの集団発生について(葉山町の資料より)
ヤスデは群れを作って行動する習性があり、これにより捕食者から身を守ることができます。
そのため、ヤスデを目にするときは、たいてい大量に見かけることが多いのです。
彼らは普段、土の中で生活しており、雨水によって土が水浸しになると、溺死を避けるために地表に現れます。
この際に、家の中に侵入することもあり、その際には集団で移動する様子が観察されることがあります。
八丈島ではヤンバルトサカヤスデが大発生し、島民が困っている状況がYouTubeで報告されています。
https://youtu.be/C8UMEnZN-uk?si=c1DAkbk-TYwmFzae
ヤスデの発生源がわからない時の対応策
ヤスデが家の周りに発生源が見当たらない状況でも室内に現れることはあります。
このような場合、まずは建物の構造を詳細に確認することが重要です。
特に、配管周りや他のすき間はヤスデが侵入しやすい経路となるため、これらの箇所に注目します。
さらに、床下が空洞になっている場合、ヤスデがそこに巣を作っている可能性が考えられます。
床下空間は、ヤスデにとって理想的な湿度と隠れ場所を提供し、彼らの繁殖に適した環境を提供することがあります。
室内でヤスデが大量に発生している場合、原因の特定と根絶のために専門業者への依頼が最善の策です。
専門業者はヤスデの発生源を特定し、効果的な駆除方法を提案することができます。
また、ヤスデの侵入を防ぐためには、定期的な建物の点検とメンテナンスが不可欠です。
隙間が生じやすい箇所の修理や密封を行い、ヤスデの侵入経路を遮断することが重要です。
さらに、建物の周囲にヤスデが侵入しにくい環境を作ることも予防策として有効です。
適切な排水設備や湿度コントロール、庭の清掃などを通じて、ヤスデが生息するのに適さない条件を作り出すことが可能です。
これらの対策を講じることにより、ヤスデの侵入を防ぎ、室内での発生を最小限に抑えることができます。
特に、専門業者による対応は、ヤスデの発生源の特定と効果的な駆除につながり、長期的な解決策を提供します。
ヤスデを家の中に入れない方法
ヤスデを家の中に入れない方法は、以下のようにまとめられます。
ヤスデを家の中に入れない対策
- 外壁への忌避剤散布
外壁にヤスデ用の忌避剤をまくことは、ヤスデの侵入を防ぐ効果的な方法です。
忌避剤のにおいは、ヤスデを寄せ付けず、彼らの家への侵入を阻止します。
- 隙間への殺虫剤吹き付け
玄関ドアや押入れなどの隙間に殺虫剤を吹き付けることも有効です。
これらの隙間はヤスデが侵入しやすい場所であり、殺虫剤の使用によりヤスデを排除することができます。
- こまめな掃除
定期的な掃除によってヤスデの生息場所を減らすことが重要です。
清潔で整理整頓された環境は、ヤスデが好む湿った環境とは異なります。
- 室内の湿度管理
家の中を乾燥した状態に保つことで、ヤスデが好む湿度の高い環境を作らずにすみます。
除湿器の使用や適切な換気を行うことが効果的です。
これらの対策を総合的に実施することで、ヤスデの家への侵入を効果的に防ぐことができます。
特に忌避剤や殺虫剤の適切な使用は、ヤスデにとって不快な環境を作り出し、彼らの侵入を防ぐのに役立ちます。
また、清潔で乾燥した環境を維持することは、ヤスデの生息に不向きな状態を作り出し、彼らの繁殖を抑制します。
ヤスデが嫌いな匂いとは?
ヤスデが嫌う匂いは、主にシトロネロールやゲラニオールといった天然の精油成分に由来します。
これらは、レモンバームなどのハーブから抽出され、ヤスデを寄せ付けない効果が科学的にも実証されています。
除虫菊などの植物由来の忌避剤にこれらの成分が含まれていることが多く、ヤスデを効果的に追い払うのに役立ちます。
このような天然成分はヤスデにとって不快な環境を作り出し、彼らの侵入を防ぐのに有効です。
一方、ヤスデが大量発生した場合の駆除方法としては、専用の粉剤殺虫剤の使用が一般的です。
粉末状の殺虫剤をヤスデの大量発生箇所に直接まくことで、迅速に駆除することができます。
家の中でヤスデが大量に発生している場合は、専門の駆除業者に相談することが推奨されます。
害虫駆除業者は、大量のヤスデを一度の作業で駆除し、再発防止対策も行います。
このように、ヤスデの駆除と予防には天然成分を含む忌避剤と専門的な駆除方法の両方が有効です。
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ヤスデが家の中に一匹いたら?について総括
以下。記事のに内容をまとめます。
まとめ
- ヤスデは日本には約300種類が生息している
- 1匹のメスは一度に150~300個の卵を産む
- 人に危害をほとんど加えないが、体液に刺激臭がある
- 建物の外壁を登り、わずかな隙間から中に入ってくる
- エアコンの室外機付近に集まることが多い
- 家中を這い回り、ベッドの下やクローゼットの中で見つかることがある
- 湿気の多い環境を好み、特に脱衣所や浴室に侵入する可能性が高い
- 長雨により土の中が水で溢れると、溺死を避けるために地上に出てくる
- 玄関や窓、サッシなどの隙間から侵入することがある
- 外壁にヤスデ用の忌避剤をまくことが効果的で、忌避剤はヤスデを寄せ付けない
- 玄関ドアや押入れの隙間に殺虫剤を吹き付けると有効
- 定期的な掃除によりヤスデの生息場所を減らし、清潔で整理整頓された環境を保つ
- 粉末状の殺虫剤を大量発生箇所に直接まいて迅速に駆除する